講談社BOOK倶楽部

講談社BOX:Powers

講談社BOX Everything is Boxed, KODANSHA BOX. OPEN NOW!!

第十七回“Powers”全小説講評

祟りの神へ唾を吐く

力作ではあるが一般向け時代小説をまともに書いているため、比較的若年層の読者が多い講談社BOXというレーベルを考えると、単行本化へのイメージがしにくい。もっともっと読ませる工夫がほしかった。

流転の黒夜

中華風の「剣と魔法」 ストーリー。題材に新しさがないし、物語の展開も遅い。文章力はあるのにもったいないですね。自分にしかかけない物語に挑戦してほしい。

電話を持たないこどもたち

いわゆるネグレクトされた子供の話なのだが、その主人公たる子供の心理がリアルに感じられた。友達のシャイな優しさに胸を打たれた。ただ、ページをめくらせる物語性に欠けている。

七夕スリラー

文章は丁寧で安定感があり好感が持てるが、スリ師、泥棒という主人公に感情移入させるだけの説得力が足りず、ストーリー展開もいまひとつリアリティに欠ける。

宇宙ロボ

荒唐無稽過ぎて、読者を置いてきぼりにしている。SFとはいえ、物語の中へスムーズに入り込めるような説得力を持たせていただきたい。

真近夜マジカル

掛け合い的な会話が楽しく、読みやすいが、ストーリーはありきたりで、新しさを感じられなかった。

ストラトスフィア

なぜいまこのファンタジー世界なのかが伝わってこなかった。ファンタジーで勝負すること自体は歓迎だが、どこかに現代性、同時代性を持たせないと登竜門をくぐり抜ける新人賞作品にふさわしいとはいえない。

愛情がいっぱい

全体的に古い感じがしました。今この内容を書く必要はないのでは。ご自分が普段読まれる本の賞に応募されたし。世界観の取材も弱いです。

風のゆくえ

一時代前の少女小説のような雰囲気。会話なども笑いを意識した感じでいいのだが、ちょっとベタ過ぎて意表を突かれるようなことがなく、滑ってしまっている。

西日本創世神

主人公の人物設定があいまいなため感情移入が難しい。物語の設定も終始あいまいなままで、この作品で何を伝えたいのかが見えてこなかった。

逢魔のキロク

オーソドックスなストーリー展開に読みやすい文章。世界観を丁寧に作っているのですんなり入り込めた。ただどこかで読んだような世界観が気になる。

鼎ヶ浦の黄昏

落ち着いた文章なので、読みやすいが、キャラクターにおもしろさがないので、二時間ドラマの失敗作を見たような印象。ストーリー展開にも驚きがない。

OVERDRIVE

構成力、筆力、ストーリー性ともに水準以上だが、一輪バイクのレースが成立する近未来的世界観を説明するために要する紙幅はどうしても余分に感じてしまう。アニメやコミックならば絵がそれを瞬時に説明してくれるが、小説は基本的に絵に頼れない。であれば、小説作品では絵ではなかなか描けない部分にこそ紙幅を費やしてほしい。

白金の魔女

よくあるファンタジーという印象。また、初めに説明を簡潔にしっかり書いていただかないと入り込めません。

未来への扉

唐突な現代批評などが少し面白くて読ませる。しかし、登場人物の語り口が古臭く、現代の若者とは思えない。伝奇ロマン的展開も真に迫る感じがなかった。

FishBowl

長大な家族小説のような体裁だが、ストーリー性に乏しく、読者に楽しんでもらえるような作りになっていない。作者のための小説ではなく、読者側に第一義をおく小説を書いてほしい。

道化師の学園

よくある時間移動ものだが、謎とサスペンスをうまくからめているので飽きずに読めました。ただ、最後の真相はかなり強引に感じました。

黄泉の社の夫婦狗

主人公の少年には好感が持てたのだが、挿入される“昔話”が、興を殺いでいるような印象。むしろ、この因縁は隠しておいた方がよかったのでは?

実況パラドックス〜高校生活を何度もやり直せば甲子園も夢じゃない〜

時間移動やパラドックスは目新しい題材ではなく、高校野球を舞台にしたストーリーにも新しい何かは見いだせなかった。新聞を破ると……という部分は肩すかし感があった。

羊たちのソナタ

この世に未練のある死者が集うアパートという、既視感がある設定ではあるが、それぞれのドラマにバリエーションがあり、丁寧に描かれていた。やはり設定にもうひとひねり工夫がほしい。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン

短編一つ一つはいい物語だと思った。しかし、この手の小説なら、文章が上手でないと雰囲気が作れないので成立しない。

色じかけのオレンジ

読みやすい文体、文章は好印象。ストーリー性と人物造形にもう一つ二つの引きの強さがほしい。桜の木を守る云々だけでは物語の芯としては弱い。

アンペール

未来のミュータントバトルを描くSFであるが、読み手を引き込むような設定を構築できていない。登場人物にも個性が欠けている。

同じ時間の過ごし方

主人公たちの目的がよくわからないので、序盤、読むのが苦しい。そこで、もう少し、笑えたり、驚くようなセリフが出てきたらよかったのだが。

シルヴァーミリオン

文章表現、ストーリーテリングともに不安定でぎこちない。お話を読み手に伝える小説になっていない。読みやすく、ストレスなく内容を把握させる文章をまず獲得してほしい。

ギフト・ルネッサンス 聖者の行進

割りとよくある竜と魔法的ファンタジー。これを読者の鑑賞に耐える作品にするには、自分しか書けないオリジナリティ?や、今だからこそ読者に読ませたいというタイムリーな内容がほしい。テンポもスローすぎた。

シンガー

ちょっと『アルスラーン戦記』のような雰囲気を感じてワクワクしたが、憧れるような、惚れるような登場人物が出てこなかった。

オーロラの翼

モーツァルトが主人公、黄金の杯をめぐるストーリー、という設定は興味を引いたが、物語の展開が遅く、次第に冗長になってしまった。後半はエンターテインメント性も薄れ、読み手を置き去りにさせている。

共栄会の不思議な塾風景

共栄会という組織に根本的に興味がわかない。作品を通して何を伝えたいのか、何について書きたいのか、書く前に整理していただきたい。

鈍翼のアルヴァトロス

物語としてはよくある異能モノといった感じ。主人公がちょっとかっこいいセリフを言ったりするので、この辺を磨いていってほしい。

いやしの笛

人間と異族の争いを鎮めるために村の少女が笛を手に旅に出る典型的すぎるファンタジー。ストーリー、キャラクターともに平板で、何かもう一つ二つでも新味がほしかった。

冬の亡霊〜人形電池〜

懐かしい雰囲気漂うSF。サイバーとアンドロイド的要素がいまいちかみ合っておらず、義体というテーマにも新味は感じられなかった。

フォンダント・シエル

「バンドやろうぜ」モノなのだが、特殊な声の持ち主という設定や、謎の歌姫など、導入部は魅力的。起きる事件がありきたりなのが残念。

とても簡単なお仕事です

文章は軽快で飽きさせないリズムがあるが、長編小説としては物語の全体像が地味で起伏に欠ける。突出したキャラクター性などがほしいところ。

リアルを追われて、ネットに堕ちて

スマホに関する導入がやや冗長。罪悪感を抱えた主人公のキャラ設定はなかなか。話もうまく作れてはいる が、ラストのオチで台無し。読後感がかなり悪かった。

クリスタル・エレメンツ

主人公が熱い男なのがいい。しかし、冒頭のボクシングの描写もその後のファンタジー要素があるバトルにもリアリティがなく、一緒に熱くなれなかった。

天文学的コンビニ伝説

作家志望もしくは新人作家設定の語り手が不思議な少女と出会ってSFファンタジー的展開へ、という筋書きは投稿作としてはありふれていて特徴に欠ける。語り手、主要人物のキャラクター作りから徹底して作り込んでほしい。

偽物彼氏

変な家族ドラマ、疑似カップルを演じているうちに本気になって…という展開はそれなりにうまくかけてはいた。しかし、ラストのどんでん返しは意外性はあるものの、あっさり過ぎて効果が弱かった。

影追い

丁寧に書かれているので、登場人物にもう少し特徴があって、好きになれれば、このファンタジー的な世界にも入り込みやすいと思う。

歪んだ箱の中の隣人はみな沈黙する

田舎町の名家と平凡な一家の登場人物それぞれがステレオタイプ。異物としての兄嫁の存在がストーリーの中心だが、そうした平板な人物たちの中では兄嫁は狂言回しになりきれず、ストーリー自体も平板になってしまった。

カモフラージュファンデーション

陰日向少女サークルの設定が奇をてらい過ぎ。登場人物の行動原理が理解できないのも読者置いてきぼりの要因。自分の言いたいことをすべてつめこむのはひとりよがり過ぎます。

明日を視るために彼女が失うもの

舞台が新興宗教の施設の中というのがおもしろく、父親を含め、悪い奴がうまくかけていると思う。後半の主人公の“冒険”でもっとドキドキさせてほしい。

糸視糸操り糸あやつり

文章のテンポの良さと展開の小気味良さは評価したいが、捜査権のない雑誌記者と超能力者の少女が殺人犯を最後まで追い詰めるシーンなどはご都合主義に思え、違和感があった。犯人の人物造形も陳腐で弱い。

裁き代行人

物語の背景であるマフィアが支配する無政府世界は、安易で説得力がない。さらに女神が出てくるにいたっては、要素を詰め込み過ぎの印象。

グリモワールの月夜の歌

文章も丁寧で、描写もよいと思うのだが、会話がありきたりで、異世界の設定にも新しさは感じず、物語への興味が湧いてこない。

C戦場のアリア—Aria on War of Culture.—

言語学的モチーフがストーリー上に消化不良の状態で表面に出てきてしまい、どうにも小難しい印象を与える。ユーモアが効いていれば小難しさも面白さに変わるが、お話自体に硬さがある。モチーフをもっと煮込んでから話作りを。

ピロリンピック☆リングダム〜遥かなる無限大(アナレンマ)〜

「ミゼットプロレス」をテーマにしたのはなかなか挑戦的ではある。しかしこのスポーツならではの魅力を描き切れていなかったのが惜しい。

特待オペレーション

登場する女の子たちがちょっとHな発言をしたり、お色気な展開もあったりで男性読者には楽しい。ちょっと子供っぽくて古臭い印象なのが残念。

サイコ・ヒーラー/オカリナ・シーズン

主要人物のキャラクター造形がいまひとつつかみづらく、またですます調の地の文の印象も古風で薄くなりがち。読者対象をもっと明確に意識してほしい。

奈多ソラビトの継承者

西表島の鳥人というテーマはおもしろく、特に空を飛ぶ描写は読んでいて気持ちよかった。ただ、村の設定などに古さが目立ってしまった。500P強という長さも詰め込みすぎで、もう少しコンパクトにしてもよかった。

ほりぶるデイズ

変な人ばかり集まる部活で駄弁っているような感じは楽しかったが、ちょっとドタバタが昔の漫画のような感じで、作者の個性を感じなかった。

荒神君の子守り事情

日本神話の神々たちがそのものの名で現代の日常を送るというのは、どうにもひねりがなく違和感もぬぐえなかった。作者独自のキャラクター造形の深みをもっと追求してほしい。

Tri-Debris トライデブリ

導入はうまく作られている。キャラも魅力的ではある。しかし音楽とバトルというこの小説の2大要素がうまくからんでなかったのが残念。

拡張少女と共感性パラフィリア

話の展開が遅いという印象。なかなかお話に入り込みにくいサイバーパンク的な話なので、冒頭に謎や印象的なシーンがほしい。

月読みの譜

文章、ストーリー展開ともに安定した水準にあるが、何か突出した特徴がなく、小粒なファンタジー小説の域にとどまっている。否応なくページをめくらせ、感情移入させるだけの作者ならではの駆動力がほしい。

宙に死すべし

物語が唐突です。設定がわかりにくいだけでなく、流れも唐突に感じられます。書き手には自明のことでも、読み手には色々な人がいます。しっかり書けているだけに、丁寧に伝えるようにしてください。

ロストフレンズ

周囲すべてが敵というのもスリルがあるし、ニートの主人公がハードボイルドっぽい語り口なのも楽しい。もう少し、敵の組織と味方の組織にリアリティを感じられればよかった。

おはよう、と今は去りし彼女が言った。

ストーリーテリングが巧みでラストまで読ませる力がある。一方で誤字脱字や表現の誤用が目立ち、ミステリ的にも、冒頭の脅迫を成り立たせる部分に説得力がなかったり、後半の謎解きにかかわる探偵事務所の2名について説明不足だったり、細部に首をかしげる場面が多々あった。投稿前に推敲を重ね、細部の補強をしっかりしてほしい。

アリスとハンナ

悪夢を見させられているかのような変な話。ただ、奇をてらっているだけにしか思えないのは、一本筋が通ったテーマがないからだと思います。

トリニタス名のない戦士〜Trinitas:Anonymous warrior〜

登場人物がみないい人で好感がもてるが、それゆえに、物語が単調で予想できる展開になってしまっている。インパクトがほしい。

神さまといっしょ!

文章力は安定していて読みやすいが、神と異形を軸にした退魔ジャンルとしての物語設定としては新鮮さに欠け、独創性も不足している。

Journey Journey

いわゆるサイバーSFであるがテンポよく読ませてくれるのですんなり物語に入れた。惜しむらくは、主人公のキャラに厚みがないこと。キャラをもっと掘り下げたい。

ないそしてない。かつ少女探偵—実験小説群

のんびりとした感じでエグいことを書いていたり、独特の魅力はあったが、主人公の独白や突っ込みがずれている印象で、笑いにはなっていない。

君がため惜しかりざりし、命さへ

終盤の展開は美しいが、巫女と従者の関係性は既存のバンパイアジャンルの既視感は否めない。全体をとおしてストーリーの起伏に工夫がなく、せっかくのキャラクター描写や人物同士の関係性描写の良さを生かし切れていない。

メモリアフォリス

サイバー的冒険もの。導入が遅いし、主役キャラが弱い。

エコノミック・アニマル

経済学の天才という主人公の設定に興味をそそられたが、その能力がそれほど活かせていないのが残念。もっと彼を活躍させてほしい。

無限ゼロ

火星、ロボット、戦争とキーになる題材がひと昔もふた昔も前のもので、それに何か新しい味付けがあるわけでもない。新人ならではの新鮮な独創性を求む。

職安を出でし勇者よ

タイトル負け。アイデアはいいが、中身は半端なファンタジーになってしまっている。職安があるなら、もっと色々あっても良かったのでは。

男はみんなスケベである

文章は読みやすいし、エンタメに徹する姿勢も好感が持てるのだが、センスが中高年男性向けだった。

アストラルシン —メイド養成黙示録

作家志望のフリーターと彼が生み出したメイドによる殺人が主軸に置かれているが、この中心人物の思想性が狭量に感じられストーリー自体も小さく狭いお話になってしまった。文章は平易でわかりやすくリーダビリティがある。

T-Dreamers!〜親愛なる挫折のワルツ〜

BOXへの投稿作としては珍しい青春群像劇だが、作りも構造も目新しいものはなかった。身近なものを題材にするのはいいが、それを他人に面白く読んでもらうための工夫は欲しい。

マトリョーシカ

つかみが弱い。序章の最後のセリフ、「妖精」はあまりに凡庸。また、文章に「ない」という否定形が頻出する癖があるようなので、要改善。

ユカとぼくの冒険

*枚数350枚以下、梗概欠落のため失格

朝まだき道に

そこそこ書けているのだが、なぜ南北分裂された日本が舞台になっているのか、最後までわからなかった。何となく……ではなく、よく考えて欲しい。

玄龍先生大江戸花火

外連味がある時代モノで、個人的には好きな物語だったのだが、本作はBOX向きではなかった。
視点を統一して人物にきちんと焦点を当てた新作で、また送ってきてほしい。

アリスデルタ

近未来日本を舞台にした大枠の世界観の創出はある程度成功しているが、残念ながらそれを支える細部の文章力と物語の構成力が追いついていない。大きなイメージは小さなイメージの積み重ねでしか表現できない。

暗夜光路

よく出来た和風ファンタジー。文章もしっかりしていて好感が持てるのだが、ありがちな展開に終始したのが残念。実は亡国の末裔で……、という以外に何かないのだろうか。

トップガンガールズ

冒頭から派手な展開、大胆な設定、と、攻めている姿勢は良いのだが、どこか無理して書いているような印象だった。もっと日常よりのストーリーのほうが書きやすいのでは?

繋がっているんだ

一風変わったサイコホラーで、リーダビリティがありページをめくらせるストーリー展開の力がある。連鎖の謎は最後にオチているのかは疑問で、ぞっとする怖さがあっただけに勿体ない。恨みの連鎖はいったい何なのか、なぜ起きて、なぜ引き寄せられてしまうか、という部分までストーリーに織り込み、もっとぞっとさせてほしかった。

誓う未来の夢と嘘〜結晶物語〜

ヒロインがアンドロイドである必要はあったのか。普通に人間で特殊な病気ではダメだったのか。設定がストーリーに都合よく利用されている印象。

不可視な胎児

冒頭から張りつめた空気感、独特な、かと言って突飛すぎない魅力的な設定で際立った存在感だった。もう少しポップな作品も読んでみたい。

チート狂騒曲

無理のある設定が不自然なまま物語が進行してしまう。無理を無理と感じさせない小説内でのリアリティを支えるのは文章の表現力と細部の描写の積み重ねしかない。

不正なてのひら

前作よりは格段に上手くなった。とはいえ、まだまだ表現やネタ、視点のブレなど粗が目立つ。勢いで押し切れている所もあるが、このままでは厳しい。

リョーハン

新社会人のお仕事小説、で期待感があったが、キャラ設定に注力しすぎて、どんどんリアリティがなくなっていった印象。バランスが悪い。

魔王の義務

魔法世界を舞台としつつもストーリーは徴税と滞納をめぐる小さな世界であり、それ自体が何か普遍性を描出させるうような構成ではないため、物語に広がりがない。エンターテインメント性を盛り込む工夫が不十分ではないか。

戦え!イツカイザー!

スーツアクターものはコミックなどでも色々あるが、既存のもの以上の「何か」がなかった。それなりにディテールはあるのだが、読み手の想像の範囲を超えない。しっかり書けていただけに、実は……の部分が残念だった。

失われた姫の旅物語

ストーリー立てに気を取られすぎていて、キャラの魅力を伝える臨場感ある描写が弱い。この分量を読ませるのは難しい。

機械の心臓

文章は読みやすく達者だが、ロボットと少女をメインにしたストーリー運びは古風にすぎて新鮮味と意外性がなく、物足りない。

オネイロの子どもたち

状況がわかりにくい文体。超能力の描写もやや古臭い。前作よりはしっくりくる、地に足のついた話になったとは思います。

ドイツ教会特殊作戦部隊E

平穏を愛する主人公の造形が良かったが、起きている出来事を本文でうまく追いかけられていなくて、穴が多い印象だった。

ハレルヤ〜悪魔の歌〜

プロットとストーリー構成は上手だが、お話の核となる悪魔崇拝バンドのカリスマ性に説得力がなかった。自殺動画の描写やバンドの歌詞の言葉だけでは説明不足か。語り手の人物もいまいち影が薄い。

意識の果て

短編が本来持っているべき「キレ」が無い。ちょっと後味の悪い話、という程度に止まっている。アイデアと共に、その見せ方の工夫もして欲しい。

ハーレムには少し足りない両手に花—右手には美少女、左手には美少女—

設定に無理があって入り込めなかった。どのキャラクターに読み手の視点をそわせようとしているのか、定まっていない印象。

マリッジコンサルタント 高遠ルリ子

34歳で商社マンの彼氏がいる女性ライターが婚活取材、という題材は読者をかなり限定させているのではないか。どのような読者にむけてどんな作品を書くのか、なぜ講談社BOXの新人賞なのか、もう少し狙いを絞ってほしい。

ブリッジ

悪くはない。とはいえ、ストーリーラインが弱いため、読み進める動機も弱い。前世で同じ人間だった、という設定が活かされてないし、設定自体必要だったのか。この方向の小説として、雰囲気が足りないのも問題。

The Magical Girl

タイトルがストレートすぎる。本になったとき、売れ行きにかかわるものなので、 もっと慎重に考えてほしい。文章表現もまだまだつたないので、もっとたくさん書いて書き慣れていってください。

血まみれルージュとナポリオン

不死や人格異常の少女を成立させるのに必要な文章表現力が不足している。「ナポリオン」と名付けられるシーンにも突出したユーモアは感じられなかった。

魔曲—地獄篇—

厨二病全開小説、とでも呼ぶべきなのだろうか。すべてが大袈裟に表現されていて、非常に読み難い。緩急をつけなければ、読者に「凄い」と思って欲しい所で「凄い」とは思ってもらえない。全部が「凄い」とかあり得ないから。

ザ・クロスコネクションワールド

あえてだと思うが、本当にベタなラノベ、と思えてしまった。もっと早く独自の展開を出してほしかった。文章は読みやすかった。

猫の砂庭(サンドボックス)

SF設定は物語の早い段階で簡潔に丁寧に読み手にすんなり理解できるような説明が必要だと思うが、この作品はその点で読み手に対して不親切ではないか。

深海魚

夜の世界に惹かれたものの転落した男を迎えに来たのは、最初に捨てた元妻だった……って、すいません! さすがにカテゴリーエラーです。強いて言うなら、昭和演歌の世界を一歩も出てない印象です。Vシネくらいは目指しましょうよ。

コスプレマジンのメソッド

マニアックな人々が集まるサークルが舞台だが、書き手自身がキャラクターや、そのキャラクターの趣味に魅力を感じていないで、あくまで「設定」として書いている感じがする。それでは読者に共感を得られない。

Workers!

文章の修飾がぎこちなくテンポがよくない。独自の表現を獲得しようとする意図は感じられ、それはそれでよいのだが、読みづらくイメージが伝わりにくくなっては本末転倒。固有名詞も記号化されすぎておりイメージしにくかった。

多重欠陥ホテル

ホテルもの、というより泥棒もの。どこかで見たような設定で、騙し合いの部分でのアイデアも残念ながら弱い。

ラヴダムド

セリフまわしがテンプレートで、個性を感じられなかった。(特に女性キャラ)。ストーリーも風呂敷を広げすぎな印象。もう少し慎重に設計してから書き始めてほしい。

シアンメエル

文章の一文一文のつながりが弱く細切れ感があり、意味が伝わりづらい。人気作家のプロの文章にもっと親しんでみてほしい。ロボットと人工知能のオチはすでに手垢がつきすぎているのではないか。

真昼の流星

「ハードファンタジー」とでも呼ぶべき作品。かなりしっかり書けているが、いかんせん入口が狭い。ただでさえ身近でない異世界を、突き放した文体で書かれると読者はついていけないと思う。

女子大生とブラックホールの関係式

理系知識が難解で、読みづらかった。しかし作品にただよう精密な空気感や、ミステリ仕立てで読ませようとする工夫が魅力的な一作だった。キャラクターがもっと活き活きしていれば、最終選考に推せたのだが…。また送ってきてほしい。

主人公

自殺からの救いという主題にとらわれすぎて、語りが観念的で一本調子になり、説教臭くも感じられる。情緒的な語りに偏らず、起伏のあるストーリー展開を読ませてほしい。

妖々蝶々の夢々

話が右往左往しながら拡がっていくのだが、けしていい意味ではない。思いつきで書くのではなく、ある程度プロットを組んで欲しい。そうすれば伏線も張れるし、この迷走している印象もなくなるはず。

終末への旋律儚き音律のレコード —黄昏の世界の錬金術師—

描写がたどたどしく、書き手のイメージしているものをうまく言語化できていない。もっと書き慣れてほしい。異世界ものにこだわらないほうがよさそうだと感じた。

SECOND-STORY GORT

ストーリー展開が込み入ってわかりづらい上、登場人物それぞれの書き分けや彫り込みが甘く、感情移入がしづらい。

鹿児島から痛車広告を始めませんか?

「起業」というテーマは買うが、売上や採算といった数字、営業などのディテールが欠けているのが残念。

altanative plan

ディテールや場面の作り方が繊細で、センスを感じます。ここまで大がかりな設定にせず、視点を固定して、1つの設定(仕掛け)でどこまで面白くできるか勝負したほうがよかった。また送ってきてください。

お口いっぱい

荒唐無稽なストーリーが終始荒唐無稽なまま進行する。常に主人公だけは安全地帯にいるようなご都合主義的世界観に馴染めなかった。登場人物にすんなり感情移入させるような工夫をしてほしい。

RUN!

車がしゃべるのは別にいいが、やはりその理由の部分で説得力に欠ける。主人公の足の怪我ゆえに車で走る、という動機もしっくり来ない。

一か月後、私卒業、彼死亡

タイトルがインパクトがあってとても良い。が、地の文が破綻している。技巧に走らず、まずはベーシックなものから書いていっては。

STORY MAKES US

爽やかな読み口の恋愛成長小説といえるが、二人が結ばれていくストーリーは予定調和的でやや一本調子。どうなるかわからないハラハラ感、ドキドキ感がもっとほしい。

鬼の銀時計

おそらく普段、著者が読んだり観たりしているある種のジャンル作品の延長上にあるのだと思うが、やや唐突な印象を受ける。そのジャンルではお約束なのだろうが、もう少し親切に「そもそも」を考えながら書いて欲しい。

蒼穹水族館

文章が安定していてストーリーも丁寧。安心して読めた。ハイクオリティな反面、突出して心に残る何か、が欠けていた。もっとニッチなテーマでもいいので、これぞ、というものをBOXに送ってきてほしい。

小さな星が笑うとき

小説の土台は実在した作家とその妻であり、伝記を史料としている部分が多く、新人賞の応募小説の題材としては独創性にやや欠ける印象が残った。

モラトリズム

某作品から妹萌えに特化したような作品。それなりに面白く読めて、それなりにまとまっているのだが、残念ながらそれ以上でもない。会話やエピソードの密度を上げるか、精度を上げるか。どちらなら可能でしょうか。

この掌は漆黒く燃えて候

時代モノのファンタジーで、エンタメ要素をふんだんに盛り込んでいるのだが、うまくはまっていない印象。前作のほうが、ポップでよかった。

夜明けの神話

大部の物語の終盤まで主人公の人間は神々の歴史を追体験している傍観者にすぎず、小説のワクワク感やドキドキ感に乏しい。もっと主体的に主人公をストーリー展開にからめてほしかった。

ヴルムマグナム

何度も送ってくれているので長めに。銃器をテーマにした作品が多いので、好きなんだとは思いますが、それを架空の町で設定されても読者は想像が追いつきません。もし銃器を舞台設定に入れたいのであれば、私たちの日常生活の延長線上を舞台にしてください。その上で「あるかも知れないな、あったらいいな」と読み手に思わせることが、まず大事です。今まで書かれたものは、どこか世界観があやふやで、お話に都合のいいように、書きやすいように都合よく設定を使っているだけで魅力を感じません。このまま同じ調子で書かれても、おそらく厳しいです。本気で「そんな世界が存在したら」と考え抜いて書いてみてください。

キャディスプーンで量りましょう

紅茶専門店が舞台というのは、講談社BOXの選考では初めてだったので新鮮だった。が、セリフまわしや展開が、オーソドックスで、物足りなかった。

"Lolita living in the mystery fieldロリータ リビング イン ザ ミステリ フィールド"

ミステリとしては古典的な展開だが丁寧によく書けている。ただ、ロリータ、ゴスロリの濃厚なアクセントが全編をとおして貫かれており、やや読者の間口を狭めている気がする。

アクトウィザード〜下駄箱に届く手紙〜

魔法学園ものだが、メインの話に入るまでがやや冗長で、目標とルールの関係もわかりにくい。キャラもどこかで見た印象。

妖怪と秘密と匂いフェチ。

文章がストレートすぎる。ぶつぎりな表現も目立つ。匂いをテーマにしている作品でもあるので、もっと想像力を書きたてられるよう、表現を工夫してほしかった。

妄想メイカー

文章は読みやすく安定した筆力があるが、ギャグの仮定世界を生む能力を説明するための展開が中盤まで続き、やや冗長に感じる。設定説明は早めに消化させ、序盤からもっとスピーディで起伏に富んだ物語展開を見せてほしい。

すべての者が幸せになれる世界

投票のシステムが不明瞭で、これを成立させている世界観、恋愛観がよくわからない。

辺境魔法学校

魔法学校へ入学する不遇な主人公、と、一見ありがちな設定だが、細かな描写や、主人公の飾らない、本心を吐露するセリフに妙なリアリティと説得力があり、引き込まれてしまう。不思議な魅力をもった作品だった。

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余物語

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