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第十八回座談会

「顔」の見える作品を!——第十八回座談会

OKB:それでは、第18回Powers新人賞座談会を始めたいと思います。よろしくお願いします。
最初は、私からですね。『迷える者に悪魔の祝福を』のあらすじを紹介したいと思います、舞台は西暦1309年のヨーロッパで、迷信がはびこり、まさに暗黒時代といった感じです。主人公はシジェという医学生なのですが、彼がとにかく「妹萌え」してしまうという悪癖みたいなものを抱えていて、これがいろんな事件の発端になっていて、その彼がリアルな狼の着ぐるみを被ったヨハンという人物に出会い、無理やり弟子入りするところから物語が動き出します。この狼男が、医学から何からすごい碩学な人物なのですが、かなり奇矯な人で、その知識を武器に詐欺師みたいなことをして、ヨーロッパでいろいろ騒ぎを起こしている。そして、この狼男が、実は男ではなく、伝説の女教皇・ヨハンナだったという謎が明かされ、さらにどんどん大きな騒ぎに巻き込まれていく、という展開です。まず、いいなと思ってのは、いろんな本の引用が出てきて「勉強になるな」と……。

N崎:本当かよ(笑)。

OKB:あれ、勉強にならなかったですかね? 読み終えて知識がついた気が……。

N崎:だって1ページ目から鎮静剤とか出てくるんだよ(笑)。

OKB:冒頭の、蟻の頭で傷をふさぐとかも、実際あったり、格言とか名言も実際あるものの引用だったりとか、多分、この詐欺師も、実際に中世を渡り歩いた詐欺師でモデルみたいな人がいるんだと思うんですけれども……。彼が、女教皇ヨハンナだという展開も、まあ、塩野七生さんとかを読んでる方には(笑)、たまらない感じだったのではないかと。舞踏病とか、いかにも中世という感じで、読んでいてちょっとタイムスリップ感が味わえたんです。ドン・キ・ホーテ的な、この中世のデタラメ感はすごく好きで、この話が一番、印象に残ったので……。

L:慎GOさん、いかがでしたか。

慎GO:案外、こういう作品は他にないから、新しい感じはしましたけどね。この作者さんは、『薔薇の名前』のウンベルト・エーコさんみたいに知識が豊富ですね。

OKB:そうです、そうです。

慎GO:テンプル騎士団やら何やらいろいろ出てくるところが、うーん、格調高くて(?)面白いんですけど、その一方でなかなか物語が入ってこなかったなあ(笑)。いかがでしょうか、皆さん。

L:盛り過ぎじゃない?

OKB:盛り過ぎ……そうですね。

L:狼男として最初登場するヨハンが女教皇ヨハンナでしたっていうのが一番の秘密のはず。実の兄との恋愛とか、「実はジャンヌ・ダルクだったかも」とかいうネタは要らないんじゃないかな。

OKB:確かにこう、いろいろ話が盛り込まれ過ぎているうえ、歴史っぽい話かな、と思えば、妹萌えやらオネエキャラも出てくるし……。

L:主人公を助ける博学ペテン師ヨハンの話なのか、それとも追放された教皇庁にリベンジを誓う、幻の教皇ヨハンナの話なのか、どっちなんだろう。ワンサイドだけで1本できて、そのほうが読みやすかったんじゃないかなと思ったんだけど、矢Gさん、どうでしたか。

矢G:そうですね。最初におっしゃったそのペテン師と医学生のコンビだけでも……

L:十分いけたよね。

矢G:はい。その2人の冒険奇譚みたいにしてくれれば、デタラメ中世要素も含めて楽しく読めたんじゃないか、シリーズ化もできたんじゃないかなと思います。最後、壮大な話になっていくのが、どうも乗り切れないところでした。

L:なんか深掘りし過ぎた感じがあるんですけど。

矢G:あと、ちょっとあのノリに馴染めない。この中世の要素と、何いいますか、わざとふざけてる感じがそんなにうまくマッチしていないような。

OKB:そうですねえ。妹萌えとかも、最初はふざけた感じなのですが、その妹萌えの原点が、実際に兄妹で愛し合っていて妹が自殺した、みたいな急にシリアスな話になったりして、ちょっと萎えてしまう感じがありました。

L:グピだっけ? あの子、なんでライオンとそんなに仲良くなっているのか、ネタを明かされないまま終わってしまって、結構気になってます。

OKB:そうですね、そのへんは確かに……

L:まあ、これだけ盛ったわりに、よく600枚で終わったわねという気はしました。

慎GO:そうですね。テンポよくうまくまとめましたね。

OKB:あと、読み始めた時、ファンタジー要素があるのかなと思ったら、なさそうで、それでいてライオン使いこなす女の子とか出てきちゃったりとか、そのへんのこう、どっちで読んでいいかわからないみたいな感じはありましたね。

N崎:そうなんだよねえ。さっきもツッコんだけど、本当、鎮静剤のところでいきなり引っかかったし、どういうリアリティレベルで読んでいいのかフワフワしてて、この時代、本当にこの都市名でいいのかな、とか、そういうことばかりが気になって、まったく信用できないんだよね。

OKB:確かに。どこまで真に受けていいのかわからない、みたいなのはありますね。

N崎:本当に漫画っぽくするんだったら、もっと思い切ってやっちゃえばよかった。そうすれば、こういう物語なんだな、と思って楽しめたかもしれないのに、なんか妙なところで……

L:調べたことはきっちり書きたいんだよね。

N崎:ええ、そうなんですね。

L:もしかしたらこの妹萌えの要素とかは、作者のサービスなのかな(笑)。

慎GO:そうかもしれないですね。

矢G:無理やり入れた、ぐらいなんですかね。

N崎:ま、そうだよねえ。現代のお約束パターンを取り入れようとした感じ。

L:普通に真面目に書いたほうがいいのに。

N崎:「ここは本当のことで、ここは嘘」みたいな、何かスイッチ、切り替えをうまくやってくれれば、もっと安心して読めたのになあとかって思ってて。読者へのサービスは、必要だと思うけど、その切り替えが下手というか、ちょっと意識できてないでやっちゃってるなあという所がすごくある。

L:うん。でも、切り替えるってけっこう難しいから、テクニックが要るじゃない? だったら、普通に書いちゃったほうがよかったかもしれない。

大久保:それっぽいタイトルでね。

L:タイトル何だっけ?

OKB:『迷える者に悪魔の祝福を』ね。

矢G:すべてがバラバラな感じでもったいないですよね。タイトルがこれで、キャッチコピーが「狂気と、踊る。」で、全然そんな話じゃなかった。

L:そうなんだよね。キャラクターが書きたいのか、舞台となった世界を書きたいのか、わからなかった。キャラクターは過剰に現代的なんだよね。

OKB:台詞とかも、そういう歴史っぽくしゃべるような工夫みたいなものもしていないですしね。

N崎:完成した作品の読者がどこにいるのか、自分の中でもう少し明確にしてから書いてほしいですね。

OKB:では、次に行かせていただきまして、『レントの怪しい食卓』。慎GOさん、お願いします。

慎GO:はい。こちらは少年スリの話です。ゲルマン共和国のミュンヘナートでスリをやっている男の子が主人公です。あるとき、スリの仕事中にレントという謎の紳士にリクルートされて、疑いつつも彼の助手になるんです。すると、ある日、暗黒街の顔役であるアクーニンという男に、ダディベアというクマのぬいぐるみを探せという依頼をされます。それがきっかけで、そのぬいぐるみに隠されている宝、これはどうも国王の宝らしいんですけれども、そういう陰謀に巻き込まれていく。で、その冒険を通して成長していくというような話ですね。
で、よかったと思うのは、多分これドイツのミュンヘンがモデルですけど、第一次大戦前のヨーロッパの雰囲気が違和感なく伝わってくる。描写がとてもうまいと思いました。それに、この主人公もとても応援したくなる、好感度の持てるキャラクターで、楽しく読める作品に仕上がってます。いかがでしょう。

矢G:舞台も海外だし、登場人物もマチルダとかジャンとか、すごいテンプレートな名前で、最初は「これダメなんじゃないか」と思って読み始めたんです。児童書向きなのかな、と。でも、キャラクターがいきいきしていて、主人公の口ぶりとかもなんだか応援したくなる感じで、最初の印象からは一転して、楽しく読むことができました。しかし、この設定、この世界観、この展開で1冊の本になるのは厳しい、というのが正直な感想です。

慎GO:うちの「青い鳥文庫」っぽい感じですか。

矢G:うーん……

慎GO:オリジナルな世界観とかは、ないですね。

OKB:でも、読みやすくて、楽しさがありましたよね。田中芳樹さんの『アップフェルラント物語』みたいなものを書きたかったのではないでしょうか。少年少女がヨーロッパで冒険するみたいな話。ルートヴィヒ二世とか歴史上の人物が出てくるのも期待させるし。まあ、それが歴史的な迫力を持っていて、面白く書けているかというと、そうでもないんですけど……。でも、レントのおしゃべりなところとか、面白かったです。それに、「これからノイシュバンシュタイン城に忍び込むぞ」とか「ダディベアに宝石が詰まってる、どうやって探すんだろう?」みたいな、そういう引きは強かった。でも、「そうなりゃ話は簡単だ」みたいな感じで、意外にすぐ見つかるところはね(笑)、それはちょっといかがなものかと。

N崎:なんでこの時代のこの場所じゃないといけなかったのか。

L:あ、私もそれ、思った。なんでこの設定なのかなあって。

N崎:だったらいっそのこと、スチームパンクっぽい感じのファンタジーとかにしちゃったほうが、もう少し一般性が上がったんじゃないのかな。

L:主人公ジャンの置かれた環境とか、ジャンの内面みたいなところは書けてるのかなって思ったんだけど、でも、なんでこの設定じゃなきゃいけないのか、そこに必然性が感じられなくて。あと、ゲルマン共和国バイエリナ州ミュンヘナートとか、イタリアーノとか……。これなら本当の地名使ったほうがいいんじゃない?

OKB:それこそ『アップフェルラント物語』みたいに、中央ヨーロッパだったら一つ架空の国を作って、周りは本物の国でもよかったわけですよね。

L:そうそう。あとOKBさんが「すぐ見つかっちゃう」と言ったけど、大した冒険じゃないという弱点があるよね。それにレントとマチルダの二人の秘密みたいなのも、書いてないのよね。投稿原稿で秘密を残してどうする。

一同:(笑)

OKB:全部出してほしかったっていうのありますね。ラストシーンはライバルというか、喧嘩相手のガンツと仲直りして終わる。

慎GO:そうそう。でもあんまりいいシーンになってないんだけど。

OKB:でも、あったかくて(笑)。ちょっといいなって思いましたけど。

慎GO:「夕陽がそんな僕らを照らしていた……」みたいな感じだね。

L:でも、そこが多分、児童文学っぽいんだよ。

慎GO:何かしらの毒がもうちょっと欲しかったな。

N崎:多分、『ラピュタ』みたいなのを作りたかったんじゃないかな。

OKB:そうなのかもしれないけれど、シータいないですねえ。一緒に泥棒してくれる女の子がシータだったのかな。シータみたいな魅力的な女の子が出てきたらよかった。

L:あと、アクーニンはどうやって国王に近づいたのかなあっていうのも、けっこう謎だった。

矢G:あ……ひょっとして、アクーニンって悪人から来てる?(笑)。

一同:そうでしょう。

ヤG:今、気づきました、すみません(笑)。

慎GO:名前のセンスがねぇ……。

L:そうねえ。地名だけじゃなく、ダディベアもかなり……。テディベアでいいじゃん。シュタイフでしょ?

OKB:うーん。少年の初々しい心と冒険への期待を膨らませたのはいいけれど……って感じですね。

慎GO:特に舞台設定に関しては、ちょっといろいろ難点が……。

矢G:いっそ、日本でやるのもあり、と。

L:でも、きっと……それこそ日本でやったら終戦直後の設定になっちゃう。

OKB:闇市のかっさらいかな。

L:だって少年たちが自立して、貧乏に暮らしてないといけないわけですから。

矢G:今の日本に近いところで、そういう世界があるのかも、と思わせるように書いてくれてたら、カッコよかった気はします。『鉄コン筋クリート』みたいな。で、ヤクザの親分から何か盗む……なら、ハラハラできますよね。多少。

L:ヤクザの親分かあ。

矢G:ダメですか。

L:うーん、なんか急に話が小さくなってきたなあ(笑)。

矢G:この著者の方も、想像の翼を羽ばたかせるには、これくらい遠くを舞台にしないと自由に書けなかった、ということなんでしょうか。

L:うん、そうなんだろうね。

矢G:身近な世界からいかに広がっていけるかというのは、それがやっぱり作家の力量として大事なところだとは思います。やっぱり、それが読者の求めていることなのだから。わざわざ遠くへ行かないで、身近な世界から、豊かな壮大な物語世界を作り出すというのも、作品に求められることじゃないかなと。

L:そうだね。この方はそんなにミュンヘンのことが好きだとも思えなかった(笑)。その頃のミュンヘンの風俗に何か執着があるようには感じなかったですね。

OKB:では、そろそろ次に行きましょう。『デカダンスガール』ですね。矢Gさん、あらすじをお願いします。

矢G:はい。主人公の高校生、宇津木奏太の通う学校には、通称マジョと呼ばれる不思議な女の人がいます。彼女にはある噂があり、それは彼女に近づくと不幸になるというもの。ひょんなことから宇津木はマジョとお近づきになってしまうのですが、それを友人の相馬初代というかわいらしい少年が妙に止めてきて、最後は、けっこうとんでもないことに、なる、というお話です。今回読んだ中で、一番最後まで「気になるな、どうなっちゃうのかな」と思って読めたのがこれだったので、皆さんからコメントをいただけたらなと、挙げてみました。

OKB:いや、でも、確かにこの、妙に暗いトーンとか……

L:まあ、異色だったよね。

矢G:なんとなく、けっこうベタなことのオンパレードなわりに、妙に読ませちゃう力みたいなものがあると感じたので推してみました。いかがでしたか。

OKB:まさかのBL的展開にはびっくりしたけど。

N崎:確かに、一生懸命書いてる感じはしました。それこそ暗くて読んでてつらいんだけど、何か伝えたい、書きたいんだろうなあみたいな感じは、今回の中では一番でしたね。

慎GO:得体の知れない何か妙な暗いパワーみたいのがあって。これ、呪いとか省いちゃうと、三角関係だったりって通常の話になると思うんだけど、でも、その呪いがなんかイマイチなんだよな。この呪いの家系の部分があまり掘り下げてないね。

OKB:最後、トラックに轢かれるのは、いやだなあ。

N崎:やっぱ安易だよねえ。

OKB:でも主人公、けっこう優しくて、しかも学校内で力を持っていて、いじめを止めさせたりできるじゃないですか。そこらへん、なんか主人公がちょっといいなと思わせる書き方なんですよね。寡黙だけども強い人、みたいな感じで。悩んでいるんだけど、見せない感じとか。

矢G:けっこうヘビーな過去の事件や、男友達からの恋心に対する主人公の対処や態度が、わりとリアリティがあって好感が持てるなと思ったんです。ヒーロー的なよさみたいなのはないんだけど、こういう“揺れ”みたいなものってあるんじゃないかなと。自然に読めたのが評価したいところでした。送られてくる作品で多いのは、とんでもない感情のベクトルを向けられたときに、ストーリーに合わせてキャラが動いているパターンなんですが、この主人公に関しては、心の動きにあまり無理がない感じがして、それがいいなと思ったんです。

L:そこはいいと思うんだけど、なんでここまで救いのない話にする必要があるのかな。初代のキャラクター、かわいいなと思うんだけど、奏太に恋をしてる設定にする必要があったのかなというのも、気になりました。複雑な設定にすると、筆力が必要になってしまうので、親友とか弟にしておいてもよかったかな。彼岸家の呪いが本当に存在するのかどうかっていうのと、マジョは本当に魔女なのかどうかっていうことを読者にチラチラさせながら興味を引っぱっていけばよかったのになあと思って。最後に、その魔女の呪いを桐尾が奏太の中に隠していたというところを肝に構成し直せば、もっとはっきりエンタメらしくなったと思う。「どうしてこの結末にしたの?」ってことは聞きたいね。

矢G:救い……なかったですね。

L:読み終わったあとに、「はぁ……」っていう(笑)。読ませるんだけどね。

OKB:でも、いろんなとことにドキッとするというか、心に残るポイントがありました。「不思議少女現る」っていう、よくある話かなと思って読んでいたんです。そしたら、意外にナマな女のナマな傷を見せられた、みたいなところがあった。

慎GO:主人公が相手の魅力というか魔力に落ちていくところは、よかったね。保健室でのキスが忘れられなくて、また性懲りもなく保健室に行っちゃったりとか。

L:ダメな高校生感、出てるよね。「でも、自分から会いに行ってるんじゃないからいい」とかね。

一同:(笑)

矢G:そのへん好きなんです。「ギリギリ嘘はついてない、俺」みたいな……なんか人間臭くていいなって(笑)。

L:うん。でも、どこか「すみません」みたいなところがあって(笑)。

矢G:いや、すごいよかったと(笑)。そのくせ、友達にもキスしてみたり。

慎GO:そうそう、初代に。

矢G:あそこちょっとドキッと。ひょっとしたら、この人は次作を書くかどうかわからない人だなとは思いましたね。小説家を目指してるのだとしたら、もうちょっと構成のところを考えて。

L:「1回だけでもいいから、読後感がいいやつ書いてみない?」っていう感じでどう?

矢G:そうですね。

OKB:では、次に。『理容店KIRISAKI』ですね。Lさん、お願いします。

L:えーと、「呪家」を狙う連続殺人鬼に恋人を殺された男子高校生、天宮東四郎が復讐を誓うというのが話の発端。で、この殺された恋人の遺言から、理容店KIRISAKIの霧咲里緒という女性を訪ねるんですけど、その女性が人間の感情を切り取るという特殊能力を持っています。東四郎は、復讐を果たすために彼女と行動を共にしているうちに、探偵と出会う。そして、探偵も「呪家」の人間で、協力し合うのかと思いきや、いきなり殺されてしまう。今度はその探偵の妹とも行動を共にするようになって、どんどん話は進んでいきます。「呪家」ばかりをターゲットにする殺人鬼はいったい誰なのか——。
全体的に設定は大盛り気味に盛っています。私は楽しく読んだんだけど「呪家」の能力設定はきっちりしたほうがいいかなあと思いました。それから、殺人犯の能力が複雑過ぎるというのも気になりました。冒頭出てくる探偵の王子創平という特殊能力者を一瞬で切り捨てたのには好感が持てた。

矢G:なるほど。

L:目玉を入れ替えるとかは、相当無理だな……。ラストに霧咲里緒の鬼畜ぶりを持ってきたところには、ちょっと好感が持てました(笑)。

慎GO:……好感ですか(笑)。

OKB:読後感、悪くないですか。

L:読後感悪いかな? まあ悪いかも。でも、意図的な悪さだからいいんだろうなって。ダークヒーローなんでしょ?

矢G:ラストで明かされる霧咲里緒の目的、カッコいいと思いました。

L:ねえ! 私もそう思いました。

矢G:それまで霧咲里緒のキャラはダサいなと思ってたんです。オカマ口調というか、全然美人って感じしない……

L:しない、しない!(笑)。

矢G:テンプレのオネエキャラの人なのかなみたいに思って読んでたんですけど、最後のあの目的を知って、ちょっとグッと一段上がった感じはあった。

L:なんか華奢な感じがしないんだよね。

矢G:しないですね。ゴツイんですよね。里緒のキャラはちょっと考え直したほうがいいと思いますけど。どうやるにしても。

OKB:銀髪喪服とかだからかな。

L:銀髪喪服という書き方が、なんかもうダサいものを想像させちゃうんだよね。もうちょっと同じようなスタイルでも、言い回しを変えられたのではないか。

OKB:「黒ずくめ」とかでもいいわけですよね。「喪服」と言われて最初、着物を想像してしまって……。

L:未亡人か!

一同:(笑)

矢G:でも、面白かったですよね。

L:エンターテインメントを書こうとはしてる人だと思いますね。

OKB:ミステリーみたいな楽しさもあるし、どうやって最後の敵に勝つか、みたいなことを謎として残しておいて、主人公の知恵で解決するところは、少年漫画的な面白さがありました。ただね、Lさんがおっしゃるとおり、殺人鬼の能力がすご過ぎて、よくわからなくなっちゃう。

L:脳が不老不死は、まだいいんだけど、その先になると複雑過ぎないか? でも、お話を華やかにしようと思ってるのは、いいなと。

OKB:ゴスロリの妹がブラコンで、みたいなこととか、サービス精神を感じます。

矢G:いろんな人のパーツをつけて能力をどんどんエスカレートさせるのではなく、手首だけで勝てたらカッコよかったのになって。「痛ェェ!」とか言いながら亡き恋人の手首を縫合したら見せ場になったのに……。

慎GO:目玉くり抜きシーンは、ちょっとね。

矢G:うーん。ちょっとやりすぎだなあという気が。

L:セナ(主人公の殺された恋人)の手だけで勝ったほうがよかったかな。

矢G:勝ったほうがよかったです。で、それができるぐらいの相手にしてよかったんじゃないかって。敵が超人的過ぎるだろうという。

OKB:そうだよね。けっこう先に手首を縫いつけちゃってるから、何でもあり感が出ちゃってるからね……

矢G:女の子を庇って手を失ったところとか、いいシーンだったんですけど。

L:なんかもう少しっていう感じなんで、このまま頑張ってほしい気がする。N崎さんはどう?

N崎:うーん、呪家の部分の話が弱いというか、里緒が弱いというか。

L:うーん。まあ、盛れば盛るほど説得力を持たせるのが難しくなるので、これからはその説得力のほうだよな。盛れる実力があるのはわかったっていう感じ(笑)。

OKB:もう一つ言うと、被害者の残留思念集めることに、あまり意味がなかったような気がして。

矢G:ああ、確かに。けっこう丁寧に集めてたけど。

OKB:ほとんど恋人の女の子が残してくれた手掛かりで犯人がわかっちゃうっていうのがあったので。里緒の能力があまり役立ってないような気がしました。里緒がそのへんで活躍すれば、キャラクターが立ってきたのでは、という気がします。
では、そろそろ次へ。『ユウはユーフォーのユウ!』。N崎さん、お願いします。

N崎:はい。いわく付きの品が奉納されるお寺の息子である男子高校生・百目周維が主人公です。そしてその主人公が、その奉納品目当てにしている、超常現象好きだけど懐疑派だという変わった女の子・本条夕に、無理やり超常現象を研究する部活に入れられてしまう。そして、超常現象風の事件の謎を暴いていって……というお話です。超常現象のネタが、盛りだくさん入っているっていうのが面白かったですね。あと、会話が中心で、かなり軽くて読みやすい文章でした。ほんわかした感じの話で、僕の読んだ中ではこれがいちばん商品に近いかな、というふうに思って推しました。

慎GO:まあ、よくある「変な女の子から変な部活に誘われる」というパターンですけど(笑)。

L:うん。次の作品と一緒です。

矢G:すごく似てて混乱しますよね。同じようなキャラ出てくるじゃないですか。主人公の幼なじみみたいな女の子。

OKB:でも、この「変な女の子から変な部活に誘われる」みたいな、『涼宮ハルヒ』的な話の始まり方、投稿作にも多いですけど、そこはスルー?

L:ていうか、メジャー設定でしょう。

N崎:角でパンくわえた女の子とぶつかるとかと同じような(笑)。

矢G:「むかしむかし」みたいな(笑)。

OKB:いや、実を言えば、これが一番スムーズに読めたし、楽しかったんです。僕も超常現象の本が好きで、作中に出てきた本をけっこう読んでるからっていうのもあるんだけど。でも、タイムトラベラーの話に出てくる恐竜の粘土のやつとか、あれが嘘だというのは超常現象の本で読んだことありますけど、恐竜の想像図が時代によって違うというのを応用して謎解きにしていたりして、うまいと思いました。最初は、「結局、不思議なことが起きちゃうんじゃないかな」とか疑いながら読んでいたんだけど、最後までそういうのがでてこなくて、やり通しているのがいいです。

慎GO:確かに楽しく読めました。

OKB:僕は常々、超常現象懐疑派の人がビリーバーを論破していくのって、すごい快感だなって思ってたんです。この夕という女の子みたいな人ですよね。

慎GO:大槻教授みたいな?

OKB:大槻教授はダメだと思いますけど(笑)、論破していく楽しさ、それを物語で見せてくれたというのは嬉しかった。あと、あの幼馴染の女の子、面白いですよね。「ブラウン(彼女の好きなゲームのキャラ)がこう言ったよ」とか。

矢G:好きなものを作品に詰め込んでいるというのは、ほかの投稿者とも一緒なのかもしれないですけど、この方はそれをとても上手くやっていて、私たちにも楽しいなと思わせてくれるのはすごい。超常現象の世界とか、私はまったく知らないですけど、「へぇ、こういう話があるんだ。ちょっと画像検索してみようかな」って思わされましたから。あと、音楽もすごい好きですよね、この方。それで作中で人と人がつながる。好きなものを通じて友達ができるっていうことの楽しさみたいなものをナチュラルに表現できていて、それはきっと本を読む楽しさにも通じるといいますか。嫌われないというか、みんなに好かれる作品になってるなって思いました。あと、幼馴染の女の子が彼に「ふられた女をこき下ろすゲス野郎」とか言うところ……。

OKB:面白かった、あれ(笑)。

矢G:あれよかったですね。「ブラウンならこう言うと思ったの」って……ちょっとグッと来た。ちゃんと重ねてきたものを使うのもうまいし、さわやかな話でした。

L:一番意識的に構成がなされている作品だと思いました。怪しい部活と、主人公の夕と周維のほのかな恋模様とか、家庭の事情みたいなのが縦軸になっていて、横に呪いの人形とかタイムトラベラーとかツチノコが盛られているという。彼女の探偵ぶりもなかなか鮮やかで、きちんと調べられていて非常に安心して読めた。でも、逆に独自の飛躍というか、ちょっとした発想の跳躍みたいなものが足りないかな。ただ、嫌われないって言ったけど、そのとおりよね。とても楽しく読める。
あとは、彼女が周維君にこだわった理由というのが、奉納品以外に何かあればよかったなあ。その何かがあると、さらにいい話になったのでは。

矢G:お父さんとのくだりも、ちょっとベタ過ぎるかなという気はしました。最初、日本人形のエピソードが一番よかったというか、よく練られていただけに、あとに行くにつれて、お話の筋の部分が弱くなってる。

L:軽くなってくるんだよね。

矢G:ツチノコのやつとか、順番最初にツチノコだったら、だいぶ評価違ったんじゃないかなという気はしますね。

L:でも、アップダウンはあってもいいんじゃないかな。どんどん重くなっていくのもつらいし、均質で揃えなくていいと思う。軽いのが一つ入っているっていうのはありだと思う。

OKB:でも、夕が超常現象について何でも知っていて、論破していく感じが、ちょっとホームズ的でいいですよね。ワトソンにいきなり「アフガニスタンに行っていたんですね」って言うみたいな、ああいう感じに通じる気持ち良さがあった。僕もそういう人、そういう「超常現象懐疑派探偵」みたいなのを求めてたんだと思いました(笑)。この勢いでどんどん論破していく楽しさを普及させてほしい。

L:何を期待してるの、この人(笑)。

矢G:お話が奉納品から離れちゃったのは大丈夫でしたか。

L:そうだね。だから、奉納品じゃなくて、もう一つ夕が周維に近づく理由があったってことにしたほうがいいと思ったの。

矢G:そうですよね。

OKB:けっこう、猫垣山だっけ、あの山が大事だったじゃないですか。だから、何かそこに周維をもっと絡めてもよかったのかもしれないですね。

L:でも、たとえば、その猫垣山のところを絡めるとなると、自分のオリジナルの説を創らなきゃいけないね。あとは調べて書けるけれども。

OKB:うん。しかも、参考文献が作中にけっこう出てきてしまうんですよね。「『謎解き超常現象』を読んでみなよ」とか(笑)。

L:「これ読んで書いたんだけどさあ」みたいな。正直者だ。

N崎:正直者(笑)

L:まあ、でも、こういう人が一番難しいよね。すごい商品に近いんだけど、でも、この最後の一歩が大きいんだろうなっていう気がする。きっとネット小説とかだったら、ある程度読者がついちゃいますよ。

N崎:ああ、本当にそうですよね。

OKB:その「最後の一歩」は何だろうかって考えると、僕はキャラクターの魅力なのかなぁと……。多分、読者は夕には恋しないですよね? 男が読んで、萌えとかそういう意味で言うと。

L:ないね。ないね。

OKB:ないですねえ。どうですか、周維君は。

L:周維君のパーソナリティってイマイチわからないままに終わってしまうからね。「どうしてこの子だったの?」っていうのが知りたいんだよね。うっかりすれば、モブキャラじゃないですか(笑)。

慎GO:夕は教室で告るふりをしてまでも、部活に入れようとしているんだけど、周維には自分の意志がないっていうところがちょっと。

矢G:超常現象も信じてないんだか信じてるんだか、言動がどこかあやふやで。

L:本当に無個性な視点人物に近いのかなあ。

OKB:だとしたら、読者が夕ちゃんを好きになるように書かないといけないと思うんですけど。でも、恋しなかったな、僕は。変な女の子に飽きちゃったのかな。

L:うーん、そんなに変じゃないんだよね、多分。変じゃないんだったら変じゃないなりに、そのキャラ同士で何か関係性をもうちょっと作ってほしいよね。キャラ同士がどうなるのかなって思わせてほしい。だから、本当に悪くないんですけど……

N崎:飛び抜けたものがないんですよね。キャラクターを愛してもらえるような掛け合いだったりとか、エピソードとかが足りないのかな。

L:思い切って、地元を舞台に書いてもらったほうがいいんじゃない? 地元のネタで。

N崎:ご当地モノとして。

L:うん。少なくとも、その猫垣山じゃないけど、そういうところが地元だったらリアリティが出るから、キャラクターにも厚みが出るかもよ。

OKB:ご当地モノにすると、生々しくなるかも、みたいな……。

L:そんな気もするね。そしたらね、このくらいの薄さのキャラでも、バックがしっかり受け止めてくれます。

矢G:確かに。飛躍がないならばリアルに寄せるんだということですね。

OKB:では続いて『桜伝部』で。これもLさん、お願いします。

L:これ、さっきの作品とかなり設定が似ていて「変な女の子に変な部活に誘われる」モノです。冒頭は、忘れ物を取りに行った男の子が、髪を振り乱して廊下を這う女と遭遇する。でもそれは幽霊じゃなくて、1年上の先輩で、「この学校には七不思議がないの。だから、七不思議を創作するため、桜南高校伝承保存部に入部しない?」って誘われる。「それ何人でやってんですか」「いや、私1人だけど」みたいなやり取りがあり、当然入部を断ると、翌日から下駄箱に呪いの手紙が入るようになって仕方なく入部する。七不思議を創作したい女子高生と、それを手伝わされる後輩男子、それにプラス、霊が見える女子高生の短編連作風の作品です。
実際に霊が出る話もあるし、出ない話もあるんですけど、この作品の一番いいところはやっぱり、最終的には幽霊と男子高生のラブストーリーだっていうことだと思います。「幽霊だと思ったら幽霊じゃなかった」のちょうど逆。だけど、そこが肝じゃなくて、実はラブストーリー。

矢G:おっしゃるとおり、最後はすごくよかったですね。最後の告白のくだりは、かなりよかったなと。「どこが好きなんですか」「顔ですね」とか。

L:うんうんうん。

矢G:「昔の恋人に似ているところよ」、「最低の答えですね」なんて、毒づき合っているのに、字面とキャラクターの感情が違っていて、二人が強く思い合っているってことを読者に伝えられるというのはすごい力だと思いました。水曜日は部活の日って決めて終わるって終わり方もきれいです。この2人はもう絶対一緒にはいられないんだけど、ここにいるあいだは毎週会うんだみたいな、夢があって、フィクションならではの、素敵な終わり方だなと思いました。

L:不思議な前向き感があるんだよね(笑)。

矢G:はい(笑)。よかった。ちょっと少女漫画的な。好きですね、こういう終わり方は。

慎GO:そのまま取り憑かれてると死んじゃうけど、学校に取り憑かせればいいじゃんとかって、ちゃんと解決をつけたうえで、あと四つ探しましょうというのが、その前向き感がすごいよかったなと思いました。

L:OKBさんはだめでしたか?

OKB:いや、面白く読んだんですけど……。最初の、髪を振り乱して歩いているのに、冷静に対処されちゃうところとか笑っちゃったし。でも、目を拾う話で、拾った後、急にバーンと意識を失って、お母さんにいじめられていた、みたいなのが見えちゃうとか、ちょっと都合いいなと思ってしまって。そういうところがイマイチ乗り切れなかったところかなあという感じですかね。会話が面白いので、読ませちゃうんですけど。でも、僕はやっぱり、最後までお化けが出ないお話の方が好きかなと思いました(笑)。

慎GO:OKB君は懐疑派だからね(笑)。

OKB:それに、こういうお化けが見えて、そのお化けを成仏させる話って、漫画の『花田少年史』とか、『死神くん』みたいな名作が、たくさんありますよね。『花田少年史』とか、やっぱり名作で、それに比べると「これは泣きはしないなあ」みたいなのがあって……。

L:泣かせたら、即デビューだよ(笑)。

矢G:でも、あれはどうでしたか? 先輩と同じ名前の人がクラスにいたっていうのは?あれけっこうギリギリだなと思って。

L:ああ。うん、ギリギリだね。

矢G:しかも人物も似てるじゃないですか。名前だけなら百歩譲って許してもよかったんですけど、髪型もそっくりで、クラスで孤立しているっていうのも一緒というのは……。誰でも途中で「先輩は幽霊なんじゃ」って絶対思うわけで、1回そうじゃないと思わせるっていうのが必要なんだけど、これはありか? どうなのか? ご都合主義を微笑んで見過ごせるレベルを越えているかもと思いながら、ちょっと読みました。

OKB:お話の発端や構造は似ているんだけど、『ユウはユーフォーのユウ!』の方がサクサク読み進められたという印象がありました。

L:そうねえ。でも、『ユウはユーフォーのユウ!』とこれを比べると、どちらもよくできているんだけど、作家っぽいのはこっちなんだよね。

N崎:そうですよねえ。

OKB:会話の面白さとか。

N崎:それはやっぱり、うん、センスというか……。

OKB:あと『桜伝部』の方は、少女小説っぽい感じがありますね、

L:うん、そうだね。読者層が女の子のほうが多そうだね。その点、『ユウはユーフォーのユウ!』の人はどういう人が読むのか、少し見えづらい。

OKB:懐疑派しか読まないかな(笑)。そんなことはないですね……。
では、そろそろまとめに入りますか。

矢G:よく見ると、今回、選考に挙がったのが全員、応募回数1回目の方だというのは……

慎GO:珍しいことだよね。

L:あ、本当だ。特に残ったものはどれも悪くはなかったとは言えるんですけど……何だろうね、ちょっとした既視感みたいなのがあったかな。みなさんはどうです?

OKB:残ったものの中にも、似た構造のものがありましたけど、他にも似た投稿作は多かった気がしますね。「BOXがそういうものだ」と思われているのかもしれませんけど、ちょっとそういうフォーマットは壊してほしい。その形みたいなのを壊して、ビックリさせてほしいです。BOXって何でもアリなところだと思うので。

L:うん。「書いた人は、一体どんな人なんだろう」と思わせてほしいぐらいだよね(笑)。

N崎:そんなに新しいことってなかなかできないと思うんですよね。ただ、でも、何か「なるほど」とか、「あ、この人の言うことだったら信じてみようかな」とか、思わせる力が……

L:説得力?

N崎:そうですね、説得力みたいなものを上げてほしいって。結局、「勉強してくれ」と「取材してくれ」ということだと思うんですけど。それがないから、「あ、こういう人だよね」っていうふうに僕らも軽く見ちゃうというのがあって。僕らに軽く見られちゃうと、読者にも軽く見られるということだから、それはやっぱダメだと思うんですよねえ……。さっき言っていたフォーマットの話で、不思議な女の子に出会って部活に誘われるモノって、もう今、さも当然のことのようにあるけど、そもそもそれってどういう構造から始まったのかとか、どういう理由でこの構造は都合がいいのかとか、そういうことまで考えて書いてほしいなあというふうには思いますね。

矢G:本になったときのことを想像して送ってきてほしいなというのは、やっぱり感じますね。本当にこのタイトルで、このペンネームで、この内容で、書店に並んでいるところが想像し切れていますか、というのは強く気になるところで。あと、やっぱり一作書いたら満足しちゃう人が多いなと感じているので、自分は本当に書き続けていきたいんだろうかっていう、そこまでを想像して送ってきてほしいなと思います。ただ「一作書けたから送ってみよう」じゃなくて、「プロの作家としてやっていくんだ」という覚悟を持って送ってきてほしいし、そういう原稿は絶対にわかると思うので。今、そういう作品がちょっと減っている印象があって。なんか、とりあえず誰かに読んでほしくて送ってきたんじゃないかなという原稿が多かったので、プロになりたいんだという意志を強く持った原稿を待ってます。慎GOさんは?

慎GO:僕もだいたい同じ意見だけど……。自分が書きたいものに固執するのも、得意分野を極めるという点ではいいと思います。ただ、書きたい題材の魅力を読者にわかるようにもっと工夫していただきたいです。自分だけ面白がっている作品が多い気がしました。文学賞を取ったり、売れている作品は、読者にどう見せるかしっかり計算されていると思うので、一般的に評価されているあらゆるジャンルの小説を好き嫌いなく読みまくってほしいですね。

L:まあ、みんな1回目だということなんですけど、それなりに書き慣れている感じがありましたし、ちゃんと形になっていると思います。ただ、デビュー作って本当に一作しかないので、そこに、自分の一番いいところだと思っていることや、一番書きたいと思っていることを、きっちり詰めて球を投げてほしいなあと思います。今回、どれも悪くなかったけど、どれも強く推せないという感じになったのは、特徴がよく見えないからだと思うんだよね。顔が見えないというか。自分のオリジナリティというものを、作者本人が自覚してくれないと作品に出てこないので、「自分の作品は他の本とどこが違うんだろう」ともう1回考えてみて書いてほしいかなあと思いました。
そういうわけで、今回は残念ながら、受賞作はなし、という結論です。初参加で何もないのは寂しいという感じなんですけど。

OKB:しかし、仕方がないですね。では、今回は残念でしたが……。

矢G:次こそは……

L:はい、次こそは、ということですね。

OKB:では、そういうことで、第18回講談社BOX新人賞Powers座談会を終わりにしたいと思います。みなさま、お疲れ様でございました。

(終了)

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