『「英雄」解体』
小山恭平
Illustration:風乃
定価:本体1,200円(税別)
英雄は使命を果たしたら殺される運命にある。「退役英雄日常回帰補助機関」は、異世界で英雄となった人物を地球に連れ戻し、保護する組織だ。職員の山田烏鷺(やまだうろ)は、さまざまな元英雄たちの日常回帰をサポートしていく。主人公(カロン)、魔女(アイロ)、傾国の姫(レカ)――。烏鷺は一般市民としての振る舞いを教え込んでいくが、彼女たちからは英雄時代の記憶が抜けず、トラブルを巻き起こしていく――。
小山恭平 プロフィール 小説家。2014年に『「英雄」解体』で第25回「BOX-AiR新人賞」を受賞。同年、「秘蹟商会」で第6回小学館ライトノベル大賞審査員賞を受賞。同作を『飽くなき欲の秘蹟』と改題して、デビュー。2つの新人賞を受賞したライトノベル界注目の新星。
「英雄」とは本質なのか、記号なのか、それとも責任なのか。魔力を失った元英雄たちが何気ない日常を送っているようでありながら真摯に悩み、一歩一歩前へ進んで行こうとする姿に心打たれました。
電子書籍AiR発起人:堀田純司私は「娯楽はリビドーと結びついたものでなければならない」と思っているのですが、『「英雄」解体』はそこを刺激する作品だったのではないでしょうか。結果だけでみると圧勝ですが、どれもおもしろい作品で、接戦だったと思います。
若手評論家:村上・ジーニアス・裕一用済みの英雄を救済する、というテーマ自体が秀逸ですが、一方で主人公の山田烏鷺の成長譚という要素も注目です。つまり「救済者を救済する」という設定が実は主人公にも当てはまるので、作品の奥行きが深まることに期待が持てます。
アニメーション製作会社ゼクシズ:新宅潔発想にオリジナリティがあったということも勿論ですが、アニメ化するにあたり、色々な要素(例えば新キャラなど)を追加できそうな懐の深さが魅力的でした。
スターチャイルドレコード:林玄規どの作品もキャラクターが立っていて、おもしろかったのですが、最終的には単純に「自分がアニメを見てみたい作品」という視点で選びました。これからどんな英雄が出てくるのだろうかと、期待が高まる作品でした。
著者・小山恭平氏の喜びのコメントこの度、2014年度アワードに拙作『「英雄」解体』を選んで頂けた事、心より嬉しく思います。小説家としての技量は全くまだまだなのですが、皆様が支えて下さったおかげで、このような賞を賜る事ができました。なかなか結果が出ませんでしたが、それでも小説を書き続けていてよかったと、喜びと感謝の念をひたすらに噛みしめております。
夢の一つであるアニメ化が今回の受賞で現実味を帯びてきましたが、『「英雄」解体』をおもしろいアニメにするにはまず原作がおもしろい小説でなくてはなりません。いっそうの責任感を持って執筆を続け、読者の皆様の期待を上回るような作品になるよう、今後の連載に全力を尽くしていきたいと思います。どうか応援よろしくお願い致します。