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講談社BOX:図書館パラセクト 日日日

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はこぶねエトランゼ
はこぶねエトランゼ

『はこぶねエトランゼ』
著:日日日
illustration:千葉サドル
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いつか僕たちが皆殺しにするすべての大人たちへ。
いつか私たちを皆殺しにするすべての子供たちへ。
 それは〈同盟〉を結んだ、ふたりの異邦人が遺した言葉。
廃墟で築かれた、ふたりだけの秘密。

子供が嫌いな干支島さん。大人が怖い泡路くん。
ひとりぼっちのふたりは、壊れてしまった時間の中で〈同盟〉を結ぶ。
生きていくために。繋いだその手を離さないために。

幻の〈香奈菱高校〉シリーズ最新作にして、最終章。
悪魔のような〈青春〉が、幸せの洪水に沈んでいく。

著者コメント

こんにちは。日日日です。
天才は二十歳すぎればただの人といいますが、まだ初々しい十代だったころ『天才!』『超新星!』とけばけばしい煽り文句とともにデビューした日日日も今ではすでに疲れ果てた出涸らし。
そもそも超新星ってあとは終わりを待つだけの星じゃん何も知らない若造だと思って馬鹿にしやがって……などと、ぼやくだけの闇の住民ですが。
この『はこぶねエトランゼ』は十年前、青臭くて尖っていて、すべてに対して苛々して爆発しそうだった遠い昔の日日日の煌めきの残滓です。
超新星の残した火花を、寝苦しい夏の夜の慰みに眺めていただければ幸いです。

日日日(あきら)

1986年生まれ。小説家。高校在学時に第1回恋愛小説コンテストラブストーリー大賞、第4回新風舎文庫大賞、第6回エンターブレインえんため大賞佳作、第8回角川学園小説大賞優秀賞、第1回MF文庫Jライトノベル新人賞編集長特別賞など5つの賞を受賞し、デビュー。2010年、『ビスケット・フランケンシュタイン』でSense of Gender賞大賞を受賞。ライトノベルから一般文芸、漫画原作やゲームシナリオまで、様々な分野で活躍中。

Q&A質問:ゆずはらとしゆき

 一年ぶりの〈日日日×千葉サドル〉シリーズ最新作は、デビュー当時の人気作『ちーちゃんは悠久の向こう』『うそつき 嘘をつくたびに眺めたくなる月』『ピーターパン・エンドロール』……〈香奈菱高校〉シリーズの四作目ですが、八年間の長い空白を経て、久しぶりの「青春小説」はどうでしたか?

 やはりずいぶん月日が経過しているので、ものの見方や感じかたが今とはだいぶちがうなと思いました。物置を整理していたら、すごい昔の日記帳がでてきた気分です。どうしてこんなに怒っているのか、不安そうなのか……。
 でも今より純粋に、素朴に世界を見ていたようで、「なぜ恋人たちは手を繋ぐんだろう?」とかの外部的な疑問や、「オタク趣味への気恥ずかしさ」やら「姉へのコンプレックス」やらの内部的な悩みを、きちんとひとつひとつ手にとって真面目に考えているっぽくて、変な言いかたですが好感をもちました。
 自分が書いたはずなんですけど、若くて良い子でいいんじゃないかなって。当時の日日日。良い子良い子(若者にイラッとされる、嫌な大人の態度)。
 これを書いた当時は〈香奈菱高校〉シリーズを出版してくれていた会社の倒産が決まっていたりして、先行き不透明で暗澹としていたはずなのですが、『そんなの関係ねぇ!』と言わんばかりに思ったこと感じたことを素直に吐きだすことに夢中になっていて、そこが今とはちがって擦れてなくてかわいいです(誰視点)。
 幻の、などと枕詞がついてますが永遠に闇に葬られてもおかしくなかった本作に、陽の光を当ててくれたすべての皆さまに、過去の日日日に代わって感謝を。

『平安残酷物語』『のばらセックス』『図書館パラセクト』……そして、今回の『はこぶねエトランゼ』で、講談社BOXの〈日日日×千葉サドル〉シリーズも四作目になりましたが、ファンタジーから青春小説まで、同じイラストレーターさんとのコンビで多彩な物語を書く面白さや難しさはありますか?

 日日日はライトノベルと一般文芸で同時にデビューしたのですが、一般文芸で新人賞をくれた二社はすぐに倒産してしまい、ずいぶん長くライトノベル漬けの生活をつづけていました。
 なので今ではもう普通に萌え~とか、燃え~とかを、むしろ楽しんで書けるのですが。当時はそんなふうに媚びるのは絶対にNOだ! みたいな若者特有のロックン・ロール気質(?)があって、自分だけの書きかた、見せかた、感じかたを大事にしてたようです。
『はこぶねエトランゼ』は特殊な文体ですが(男の子と女の子の一人称が混じりあって進んでいく、一人称×2、みたいな文体)それも、そのひとつかなと。そんな無駄とも思える、でも大事なこだわりとかを、皆さんに見せられるのが嬉しいです。
 今はもう、難しい……。などと「過去のこと」にせずに、これからもチャレンジしていくべきなのでしょうけど。幸い、この〈日日日×千葉サドル〉シリーズと銘打たれた作品群は、それこそファンタジーからSFから青春ものから色とりどりですが、書いてる人間は同じですし、千葉サドルさんの無限の包容力のために雰囲気が一点に集中できていて「同じ料理店なのに、でてくるお皿は毎回ちがって、でもパスタを頼んだのにうどんがでてきたみたいな感じではなく、パスタはパスタである!」みたいな(何だそれは)方向性・統一感があって、不思議な味わいにできていると思います。
 千葉サドルさんはどんな世界観でも的確以上に対応し、日日日の貧困な発想を無限に膨らませてくれます。今回の『はこぶねエトランゼ』でも、これまでよりリアル寄りではあるのですが、これまでと共通の文法のなかにあるという、素晴らしい名人芸を見せてくれています。
 ほんとうに、すてきなひとと組ませていただいております。この〈日日日×千葉サドル〉シリーズという方向性を打ち立てたのは、ゆずはらとしゆき先生なのですけど、なぜそんな企画をぶちあげたのか永らくわかりませんでしたが(え~)、最近ようやく理解できてきた気がします。
 皿を、本をだすごとに味が複雑になり深みが増し、日日日だけではだせない味になる。それが幸せです。同じことを繰りかえしても意味はないので、今後も若いころの自分に負けぬよう……。いろんなチャレンジをして、より面白く食べたことない皿にできるよう、料理人一同、腕を振るってまいります。

 改めて、『平安残酷物語』『のばらセックス』『図書館パラセクト』と『ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉』を振り返って、一言ずついただけますか?

『平安残酷物語』
『平安残酷物語』  月刊ComicREXにて漫画版連載中! 八月にコミックス第一巻発売予定!(宣伝)というだけではあれなので、何か言います。もともと新聞連載として始まった作品で、たぶんこれまでの経歴で唯一のショート・ショート作品です。いろんな技法、視点での作品づくりを試すことができて、永遠に書いていたいぐらい楽しかった覚えがあります。
 主人公がよく死ぬ(そして次回、何事もなかったかのように復活する)とか、同時発売された『のばらセックス』もそうですが、肩までどっぷり浸かったライトノベルの文法から脱却しようと足掻くことで、よい毒抜きになりました。毒を抜いたら毒属性になるふしぎな日日日。

『のばらセックス』
『のばらセックス』  こちらは一冊を完全に書きおろした、講談社BOXから発売されたなかでは唯一の完全・講談社BOX仕様、あるいは〈日日日・千葉サドル〉シリーズ仕様の一冊です。
 何でもやっていいよ、ライトノベルでできないことをやっていいよ、と野放しにされて嬉しくなっておおきく踏みだし、飛びだして駆け抜ける、たいへん爽やかな創作ができたと思います。内容は爽やかさとは無縁で、ドロドロねっちょねっちょしてますが。
 自由奔放に遊び回り、あらゆる枷や常識を取っ払って限界まで走ることで、己自身と向きあえました。内容が内容なので自分の本のなかでいちばん読み直しにくい一冊ですが(自分で書いた性描写は、過去の日記より恥ずかしい)、もう右に振っても左に振っても何もでない底の底まで出し切って、生まれ変われたような心地になった一品です。

『図書館パラセクト』
『図書館パラセクト』  オリジナルの短編集はこの本が唯一です(ガイドキャラとして、『平安残酷物語』の子たちが登場しますが)。いろんなことに挑戦できて、とても嬉しい創作の場。
 ライトノベル業界を主な活動の場にしていると、短編を書きおろす機会はそんなにありません(あっても、継続中のシリーズの番外編みたいなのがおおい)。そういうすでにある程度、固まっているものではなく……。何もないところからいちから織りあげる、完全にオリジナルで一枚絵を描く、たまにはそういうことをするべきなのだと短編を書くごとに思います。
 わりと悪い意味で技巧的というか、凝りすぎてガチガチというか、短編の文法に慣れずに四苦八苦しているような作品ばかりが収録されているのですが。最近、凝らずにファジィにやってみようと一作仕上げたらフワフワしすぎたものができあがってしまい、何を言われようと技巧を捨て去るのはよくない、刀は使わなければ錆びる、牙を研がねば、と思いました。日日日は飽きっぽくてすぐ放り捨てるのですが、もっと執念深く土壌を耕し、芽を育ててもいいのかな。創作ってそういうものですし。まだ若いし。

『ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉』
『ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉』  この作品は専門用語とか難しい思考実験とかがぎゅうぎゅう詰めになっていて、書くの大変だったでしょう、みたいなことを言われますがそんなことは全然なく、むしろ楽だった覚えがあります(〈完全版〉にする際は、すでに完成してるものをさらに完成させるという禅問答みたいな真似をさせられて頭が変になりそうでしたが)。
 というのも、資料を山積みにし、先人の知恵をおおく借りて、それらを発射台にして跳べたからです。日日日自身のちからは、ほんのちょびっとしか用いなくても、とっても高く舞いあがれた。SFの賞とかももらってしまった。それを思うと怖いというか、この手段を多用していては駄目になる、筋肉が衰える、と思います。自分で跳ばねば。けれど、発射台を借りたとはいえ、すごく高く跳べたので、いろんなものが見渡せて気持ちよかった。帰ってこれなくなりそうでした。そんな作品です。

 これからの〈日日日×千葉サドル〉シリーズの展開を教えていただけますでしょうか?

 こうしてQ&Aのかたちで既刊を見直す機会をいただき、ほんとに掘れば掘るほど面白そうな、鍛えられそうなシリーズになっていると思います。ライフワークにしたい。
 他社の仕事が超絶忙しくて足をとられぎみですが、一年ぐらいじっくりかけて、また全身疲労で立てないぐらいに走り抜きたい。走るたびに、ちがう景色が見られそうです。
『はこぶねエトランゼ』の巻末に広告がのるらしいですが、〈日日日×千葉サドル〉シリーズの第五弾も計画中です。超すごい濃度の、超すごい馬鹿話を、超すごく真面目にやる予定! 書く前から楽しそうすぎて浮き浮きします、ご期待くださいませ。
 あと先ほども宣伝しましたが、漫画版『平安残酷物語』が連載中です。作画の真西まり先生という、日日日×千葉サドル先生×ゆずはらとしゆき先生といういつもの面子ではない彩りがくわわることで、また新しい味になっていると思います。コミックスも近々、発売予定なのでお楽しみに。たいへんかわいいと評判です、何であの原作でかわいくなるのか不思議だ……。
 今後も変なことをたくさんやっていければと思いますので、読者の皆さまもたまに見かけたら「何やってんだあれは」とぼんやり眺めたり、野次を飛ばしたりしてくださいませ。日日日は誰に望まれなくても、たぶんそのへんを走ってます。

『ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉』
著:日日日
illustration:toi8

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時は世紀末──半信半疑で語られ続けた大予言が大いなる肩透かしとなった時代、異変は人知れず始まっていた。

少女たちの肉体を腐敗させ、死へ至らしめる奇妙な〈病〉から生まれた〈美しき異形〉は、数奇な運命に導かれ、悪意と善意の境界線を歩き続ける。甘美なる〈死〉を漂わせながら……。



『図書館パラセクト』
著:日日日
illustration:千葉サドル

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大人たちがすべて死に絶え、代わりに奇々怪々な異形の虫たちと共存している子供だけの世界。真面目に働いていた〈小市民〉の小春さんが迷い込んだのは、無数の本に埋め尽くされた《図書館》ーー。そして、自称〈貴族〉の引きこもり《親友》のこづえと二人っきりの楽園で、5つの不思議な物語と出会った小春さんが見たのは、可愛くも残酷な結末……!?
『平安残酷物語』の人気キャラクター・小春さんを語り部に迎えて贈るオムニバス・ストーリー登場!

『のばらセックス』
著:日日日
illustration:千葉サドル

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出産可能である貴重な体を持ち、国家から保護される存在「坂本のばら」。攻防の果てに人類存続の希望は!? センスオブジェンダー大賞受賞作家が描く問題作!
“男性”しか存在しなくなったはずの世界に発生した“女性”という怪異ー世界で二人目の“女性”おちば様は、最初の“女性”のばら様が世界中にまき散らした災いと幸福の種を拾い集め、いくつもの“性”と対峙していく。軋んでいるのは、破滅の予兆か、新しい社会の胎動かー。“普通”のライトノベルでは不可能な、最先端の“性”の物語を描く実験作。

『平安残酷物語』
著:日日日
illustration:千葉サドル

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奇病の蔓延により、人類が滅びへと向かいつつある「平安時代」。働かなくて済む貴族階級「ひきこもり」の小春とこずえが繰り広げるトリックコメディ登場!
此処は、大人たちがすべて死に絶え、代わりに奇々怪々の異形な虫たちと共存している(せざるをえない)子供だけの世界ー。そして、自称“貴族”の引きこもりーこづえと、その“親友”である小春さんに次々と降りかかるのは、可愛くも“残酷”な日常…!?過去、新聞に連載された幻の作品に大幅な書き下ろしを加え、ついに単行本化。

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